SPIとは就活試験でもっとも多く使用されている筆記試験の方式です。多くの企業で採用している試験のため、まだ受けたい企業や業界がはっきりしていない人であっても、筆記試験対策はまずはSPIの勉強から始めるのがおすすめです。
「SPIとは何か」
SPIは正式には「Synthetic Personality Inventory(総合的個人特性調査票)」と呼ばれる、リクルートキャリア社が作成している就職活動用の筆記試験です。現在では13000社以上が採用している試験であり、多くの就活生が1度は受験する試験となっています。内容は「基礎能力検査」と「性格適正検査」の2種類になっていて、「基礎能力検査」は「言語分野(国語系の問題)」と「非言語分野(数学系の問題)」に分かれています。この非言語分野は数学が苦手な文系の学生さんは苦戦することが多く、特に小~中学生の数学が苦手だった人は早めに対策を始める必要があります。
「大学生が受けるSPI」
本屋さんでSPI対策本のコーナーに行くと多くの本が売っていて、どれから勉強したらいいのか、本番は何が出題されるのかなど、迷うことが多いと思います。ここではSPIの出題範囲や受験形式を確認していきましょう。
「現在行われている試験はSPI3」
SPI対策の本の表紙を見ると「SPI3」と書かれている本があると思います。「SPIとSPI3は違うものなのかな」「自分が受けるのがSPI1やSPI2だったらどうしよう」と疑問に思うこともあると思います。SPIは「SPI(初代、1994年から)→SPI2(2002年から)→SPI3(2013年から)」とバージョンアップしていて、現在はほとんどの企業で最新版の「SPI3」が使われています。対策本もそれに合わせて書かれているため、自身の受験年度の本を買っていれば「SPI」としか書かれていなくてもほとんどの場合は「SPI3」を意識した内容になっています。
※SPI2とSPI3の違いは性格検査の有無です。
「大学生が受ける試験はSPI3₋U」
SPI3の中にも種類があり、大学卒業者向けの「SPI3₋U」、社会人向けの「SPI3₋G」、高校卒業者向けの「SPI3₋H」があります。もう少し詳しく見ると、英語試験が追加された「SPI3₋UE」や構造的把握力検査が追加された「SPI3₋US」などもあります。
大学新卒採用の場合は「SPI3₋U」の形式で受験することが多く、SPI対策の本も「SPI3₋U」の内容に準拠して書かれていることが多いです。
「4つの受験方式」
SPIには4つの受験形式「テストセンター」「WEBテスト」「ペーパーテスト」「インハウスCBT」があります。本番は「基礎能力検査(言語・非言語)」と「性格適正検査」をこの4種類のどれかの形式で受け、どの形式で受けるかは企業側が決めます。
試験範囲自体が大きく変わるわけではありませんが、各形式で出やすい分野と出にくい分野があるため、自分の受ける形式を事前に把握できると対策が立てやすいです。現段階で全く情報がない場合は「テストセンター」と「WEBテスト」を採用している企業が多いことを覚えておきましょう。
「テストセンター」
テストセンターは各地域にある試験会場に行き、会場のパソコンを使って試験を受ける形式です。気を付けなければいけないことは「能力検査(学力面のテスト)」は試験会場にあるパソコンで受験しますが、性格検査は事前に自宅のパソコン等で受験をする必要があります。コロナウイルスの影響で自宅で受験できる「WEBテスト」の割合が増加した時期もありますが、試験会場で監視のもと行うテストセンターは「不正がしにくい」という理由で採用する企業が再び増えています。
テストセンターの注意点
- 「1問ごとの時間制限がある」
テストセンターの大きな特徴は「試験全体の時間制限」と「1問ごとに時間制限」の両方があることです。全体の時間は能力検査(言語・非言語)で約35分、1問ごとの時間は画面の下に残り時間を表すバーがあり、これが目安になります。バーの色が最初は緑から始まり、「緑→黄色→赤」と変化していき、制限時間がくると自動的に次の問題に画面が切り替わります。
テストセンターは制限時間内で何問を正解できるかも見られています。「バーの色が赤になっていないから、ぎりぎりまで見直しをしよう」と考えていると全体の時間制限がきてしまい、最終的な正解数が少なくなってしまいます。解けたらどんどん次の問題に進んでいく必要があります。
- 「電卓が使用できない」
WEBテストとの大きな違いとしてテストセンターでは電卓が使用できません。試験会場で白紙と筆記具を渡されますので、この白紙に計算をしたり、図などを書いて考えることになります。このため、計算のスピードも求められます。
「WEBテスト」
WEBテストは自宅でパソコンやスマートフォンを使用して試験を受ける形式です。(画面がある程度大きい方が問題が解きやすいため、パソコンでの受験をおすすめしています)
事前に各企業から案内が届きますので、そこで指定されたページに自身のID等を入力し、テストの画面にアクセスすることで受験できます。テストセンターとは違い、応募する企業ごとに試験を受ける必要があります。
「ペーパーテスティング」
ペーパーテスティングは企業が用意した会場や会議室等で筆記試験を受ける形式です。試験時間は能力検査が「言語(国語)30分」「非言語(数学)40分」と他の試験形式と比べると長くなっています。また、1問ごとの制限時間はなく、どの問題から解いてもいいのが大きな特徴です。マークシート形式になっているため、複数の選択肢から1つの正解を選ぶ点は他の試験形式と変わりません。テストセンター同様、電卓は使用できないため、計算力をつける必要があります。
SPI試験全体でみるとペーパーテスティングを実施する企業は減ってきており、早期採用試験や内定後の再試験等で使用される傾向があります。
「インハウスCBT」
インハウスCBTは企業から指定された日時に、企業の建物や応募企業指定の場所に行き、企業側が用意したパソコンから受検します。面接の前後で試験を受け、筆記試験と面接が1日で終わるケースが多いです。大卒の新卒採用でインハウスCBTを採用する企業は少なく、どちらかといえば中途採用等で使われる傾向のある試験形式です。
「SPIの出題範囲と傾向」
SPIの試験は「基礎能力検査」と「性格適正検査」に分かれていて、基礎能力検査は「言語分野(国語系)」と「非言語分野(数学系)」に分かれます。ひとくくりに国語や数学と言っても範囲が広いので、どんな分野から出題されるかを確認しましょう。
「言語分野」
2語の関係・熟語の成り立ち・語句の意味・語句の用法・文章の穴埋め・文章整序・長文読解
「非言語分野」
損益算・料金の割引・料金の精算・分割払い・割合・速さ・場合の数・確率・集合・物の流れと比・領域(グラフ)・ブラックボックス・図表の読み取り・資料の読み取り・長文読解(計算)・推論(命題、位置関係、順位関係、対応、内訳、整数、数値、決定条件)
上記がSPIの能力検査での出題範囲です。大学受験で使うような微積分などが出題されるわけではなく、中学受験~高校受験(中学3年までで習う範囲)が中心となっています。そのため、文系であっても非言語の問題はしっかりと勉強すれば対策可能な内容となっています。反対に、小中学校の時に算数・数学が苦手だった学生は早めに対策を始める必要があります。
また、受験形式(テストセンターやWEBテスト等)によって出題されない分野もあります。例えばテストセンターでは例年、言語分野では熟語の成り立ち、非言語分野ではモノの流れと比・領域(グラフ)・ブラックボックス・推論(整数・数値・決定条件)が出題されていません。
ここでは「テストセンター・WEBテスト・ペーパーテスティング」の3種類全てで出題される分野を確認しましょう。
※インハウスCBTは採用企業が極端に少なく、参考資料が少ないので割愛します。また、各形式でどの問題が出題されるかは各試験形式の説明ページで詳しく解説をします。
言語(国語)分野
「全てのテスト形式で出題範囲になっている単元」
・「空欄補充」
・「長文読解」
「形式によっては出題範囲にならない単元」
・2語の関係
・語句の用法
・熟語の意味
・熟語の成り立ち
・文章整序
非言語分野(数学)
「全てのテスト形式で出題範囲になっている単元」
・推論
・速度算
・順列、組み合わせ
・確率
・集合
・割合
・損益算
・料金割引
・分割払い
・仕事算
・図表の読み取り
「形式によっては出題範囲にならない単元」
・代金の精算
・資料の読み取り
・長文読み取り
・グラフの領域
・整数の推測
・物の流れと比率
・ブラックボックス(装置)
どの分野から勉強していいか分からないか分からない場合は「全てのテスト形式で出題される分野」から勉強を始めましょう。
自分ではどのように勉強を始めていいか分からない方はSPI塾でサポートできます。
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